公正証書遺言は遺言書の中で最も法的有効性が高く、無効となるリスクがほとんどない方式です。
今回のコラムでは、公正証書遺言の特徴やメリット・デメリットについて詳しく解説します。
遺言書の作成を検討されている方はもちろん、相続について少しでも不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
公正証書遺言は、法務大臣から任命された法律の専門家である公証人が作成に関与する遺言方式です。
公証役場で、遺言者本人が、公証人と2人以上の証人の前で遺言の内容を口頭で告げ、公証人が、それが遺言者の真意であることを確認した上、これを文章にまとめたものを、遺言者および証人2名に読み聞かせ、または閲覧させて、内容に間違いがないことを確認してもらって、遺言公正証書として作成します。
法律の専門家である公証人が遺言内容をチェックし、形式不備や内容の不明確さによるトラブルを防止するため、遺言が無効になるリスクを最小限に抑えることができます。
遺言書原本は公証役場に保管されるため、紛失や改ざん、破棄、隠匿のリスクがありません。
自筆証書遺言や秘密証書遺言とは異なり、家庭裁判所での検認手続きが不要です。
そのため、相続開始後速やかに相続手続きを進められます。
病気や体力の低下などのため、本人が手書きすることができず自筆証書遺言を作成することが難しい状況でも、公証人が作成する公正証書遺言であれば作成できます。
また、公証人が自宅や病院などに出張して遺言書を作成することが可能です。
公証人への手数料や証人費用などの費用が発生し、他の遺言方式と比べて高額になります。
財産額や遺言内容によって費用が変動し、出張の場合は別途費用がかかります。
「公証人手数料について」
戸籍謄本や固定資産評価証明書などの必要書類を集め、事前に公証人と打ち合わせを行ってから証人と作成日を調整するため、依頼から1~2か月程度かかる場合があります。
詳しい作成の流れは「公正証書遺言作成の流れ」をご覧ください。
公正証書遺言の作成上、どうしても公証人と証人には遺言内容が開示されてしまいますが、公証人には法律上の守秘義務があり、また、行政書士などの士業にも同様の守秘義務があるため、証人を士業に依頼することで秘密は厳守されます。
誰にも内容を知られたくない、という場合は不向きです。
公正証書遺言には、費用や手間がかかるというデメリットはありますが、遺言書を作成することで最愛の家族に煩雑な手続きや親族間の争いの不安を取り除く、という本来の目的を安全・確実に達成することができる最大のメリットがあります。
遺言書は、大切な人に想いを伝えるだけでなく、相続手続きを円滑に進め、ご家族の負担を軽減するための重要な手段です。
当事務所では、公正証書遺言の作成において、遺言者の意向を丁寧にヒアリングし、必要書類の準備や公証役場との調整など、様々なサポートを提供することができます。
遺言書作成をお考えなら、ぜひ当事務所にご相談ください。