遺言書を作成しておくことで、家族間のトラブルを避ける争族の安心と、スムーズに相続手続きを進められる手続き面の安心という2つの大きな安心を残された家族に提供することができます。
しかし、いつ遺言書を書くかは多くの人にとって悩みの種です。
今回は遺言書を書くタイミングについて解説します。
遺言書作成は、思いついた今が正にベストなタイミングだと言えます。
遺言書は、いざというときに備えるためのものです。
そして、いざというときがいつ訪れるかは誰にもわかりません。病気や事故、災害のリスクは常に存在します。
自身の現在の状況や資産情報の整理にも繋がることですので、今このタイミングで作成してみましょう。
そして、遺言書はいつでも撤回することができますので、人生の節目節目で更新していけば良いのです。
結婚や再婚、子供の誕生などにより家族構成が大きく変わるタイミングで見直すことが重要です。
新しい家族に配慮した遺言書に書き換える必要があります。
また、離婚や死別などにより相続人が変更になる場合も更新のタイミングです。
特に離婚後に遺言書を更新していないと、本来相続分のない元配偶者へと遺産分配されてしまいます。
不動産の購入やビジネスの開始など、大きな財産を取得した際には、その財産の分配方法を明確にするために遺言書を更新しておきましょう。
不動産は分割方法を指定しておくことで相続人間のトラブルを避けることができ、事業承継の方針を定めておくことでスムーズな引継ぎを行えます。
自身の健康状態が変わった場合や年齢を重ねた際には、遺言書の内容を見直し、最新の状況に適応させましょう。
加齢により認知症などで遺言能力を書く状態になってから作成した遺言書は無効になってしまいます。
そのため、遺言書は早めに作成し、定期的に見直すことが重要です。
特に公正証書以外で作成する場合は形式が法的に問題ないか注意しましょう。
遺言書がいざというときに備えるものであるという性質上、若いからというのは書かない理由にはなりません。実際に法律では、
「15歳に達した者は、遺言をすることができる。」(民法961条)
と定められています。法律行為を行えるようになる18歳より早くから可能であるのは、それだけ遺言者の最期の意思が尊重されるということです。
割合としては低いですが、若い人でも病気や事故、災害などの不測の事態は起こり得ます。
そして残された家族の争いや手続きの不安は同じように訪れます。
遺言書を作成するのに若すぎるということはありません。
遺言書を書くタイミングに迷ったら、「思いついたとき」に書くことが最も重要です。
遺言書はいつでも書き直すことができるため、まずは一歩を踏み出すことが大切です。
そして、人生の節目節目で遺言書を更新し、常に家族の安心を確保しましょう。
大切な遺言書が万が一にでも無効になってはいけません。作成の際にはぜひ一度ご相談ください。