高齢化が進む現代社会において、「おひとりさま」と呼ばれる一人暮らしの高齢者が増加しています。
困った時に頼れる人がいないため、死後の対応に不安を抱えている方も少なくありません。
そこで重要になるのが「終活」です。
本コラムでは、おひとりさまが死後の不安を取り除き、安心して生活できるようにするための具体的な手段と対策について解説します。
おひとりさまとは、以前は気ままな単身者のことを指す言葉でしたが、
現在では、主に配偶者や子供がいない一人暮らしの方を指します。
独身のほか、配偶者との死別や離別など、理由は様々です。
こうした方々は、万が一の時周囲に頼れる人がいないため、終活の必要性が高まっています。
終活とは、人生の最期に向けて準備をすることです。
おひとりさまの相続人は遠く離れた甥や姪だけであったり、誰もいないこともよくあります。
疎遠な遠い親戚に負担をかけたくない、自分はこうしてほしい、という希望を実現するために健康な内から準備しておきます。
死後の手続きに関してだけでなく、病気を患う・判断能力の低下などの理由により、財産の管理や医療・介護の手続きを本人だけで行うのが難しくなってしまう場合のことも事前に考える必要があります。
エンディングノートは、自分の希望や思い、資産情報などを記録するものです。
まずはエンディングノートを作成しましょう。白紙のノートに書いてもいいですが、市販のものには記載すべき項目が書かれていますので、空白を埋めていくだけでいいようになっています。
記載しておくべきことは
エンディングノートに記載することで自身の財産確認も同時に行えます。
エンディングノートで財産の把握ができたら、相続方法を決めて遺言書を作成しましょう。
遺言書を残しておかないと、財産は
となります。お世話になった個人や団体に財産を分配したいような場合は遺言書を書く必要があります。
遺言書で遺言執行者も指定しておくと、相続手続きがよりスムーズに行えます。
こういった状態に備えて、各種契約を検討しましょう。
本人が判断できる内に認知症や障害の場合に備えて、あらかじめ本人が選んだ任意後見人に、代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされています。
任意後見が始まるまでの間に、支援する人が定期的に本人と電話連絡や自宅を訪問して面談することにより、本人の健康状態や生活状況を確認することによって、任意後見をスタートさせる時期を判断するための契約です。
あくまで見守る契約であり、身の回りの世話などはできません。
任意後見が始まるまでの間の財産の管理の一部、または全部を自分で選んだ代理人に代理権を与え委任します。
本人の判断能力があることが前提の契約なので、任意後見が開始すると終了します。
委任する内容は細かく定めることができます。
死後に発生する相続手続き以外の事務手続きについて、第三者に代理権を与えて委任する契約です。
委任できる内容は多岐にわたり、
おひとりさまで自身が亡くなった後のことを頼める人がいない場合、自治体では限られたことしかできないため、死後事務を行う代理人を確保する必要があります。また、エンディングノートは希望を記載するもので、法的な拘束力はありませんが、死後事務委任契約は委任者と受任者の合意に基づく委任契約であるため、その内容には法的拘束力が発生し、実現の義務があります。
おひとりさまが増加するにつれ、残念ながら孤独死してしばらく誰にも気づいてもらえないようなケースも増加しています。
終活をすることで、孤独死を防止したり、任意後見契約や死後事務委任契約を活用すれば自身の希望や思いを実現することができます。
体が健康で判断能力もしっかりしたうちにしかできないこともありますので、思い立ったらすぐに終活を始めましょう。
何をしたらいいかわからない、何から始めればいいのかわからない、といった場合には専門家に相談してみてください。
ご希望に沿えるようお手伝いさせていただきます。