「勘当」 「絶縁」 「縁切り」
こういった言葉を聞いたことがあると思います。
親子関係がこじれてこのような状況になった場合、相続にはどのような影響があるのでしょうか?
今回は親子の縁を切りたいと思った時にできること、そして相続への影響について解説します。
現在の日本の法律では、親子関係を完全に解消することは原則としてできません。
心理的・物理的にできる限りの方法を紹介します。
戸籍は、家族の関係を公的に証明するものです。戸籍を分けることで、親とのつながりを視覚的に断ち切り、心理的な距離を置くことができます。
戸籍筆頭者ではない未婚の成年者であれば、戸籍から抜けて単独の戸籍を編製することができます。一度分籍した後は元の戸籍に戻ることはできません。ちなみに本籍地はどこにでも置くことができます。
婚姻によりそれぞれの親から独立し、夫婦で新しい戸籍を編製します。元の戸籍からは除籍となります。
家庭裁判所に申し立てを行い、許可を得れば改名することができます。ただし、やむを得ない事由、正当な事由が必要です。
住民票や戸籍の附票は、市区町村役場で交付できる住所を確認できる書類です。DVやストーカー行為等の被害者からの申し出により、これらの書類の閲覧を制限することができます。
詳しくは住民票のある市区町村役場、又は本籍地のある市区町村役場にお問い合わせください。
例え戸籍が分かれたり絶縁状を送ったとしても、相続権はなくなりません。
子供に相続させたくない、親の財産を相続したくない、という場合は相続開始の前後で速やかに手続きを行いましょう。
相続させたくない子供には相続させない内容の遺言書を作成します。ただし、遺留分を考慮しない遺言書はトラブルの元になりかねませんので注意しましょう。
家庭裁判所に申し立てを行い許可されれば相続人の地位を失いますが、相応の理由や経緯を証明する必要があります。
相続開始を知ったら速やかに家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行いましょう。期限は3ヶ月以内で、プラスの財産もマイナスの財産も含めた相続財産の全部を放棄することになり、後から覆すことはできません。
自分と直系血族、兄弟姉妹はお互いに扶養義務があります。
親が未成年の子供に対して負う扶養義務は「生活保持義務」、兄弟姉妹や成人の子供が親に対して負う扶養義務を「生活扶助義務」と言います。
普通養子縁組では親子関係はなくなりませんが、特別養子縁組の場合は実親と養子の法的な親子関係は解消されます。
親子の縁を切りたいと考えることは、決して簡単な決断ではありません。
しかし、現在の日本で親子関係を法的に完全に解消することは原則としてできません。
少しでも距離を遠ざけるための方法を記載しましたので、参考にしていただけると幸いです。
遺言書の作成や相続手続きに関するお悩みは今治市の行政書士佐伯和亮事務所までお気軽にご相談ください。