親子の縁を切ったらどうなる?
親子の縁切りと相続の関係について、法的に親子関係を完全に解消できるか、相続権にどのような影響があるかを詳しく説明します。相続の相談を今治でお探しなら佐伯和亮事務所まで!

縁切りと相続の関係

「勘当」 「絶縁」 「縁切り」
こういった言葉を聞いたことがあると思います。
親子がこのような状況になった場合、相続にはどのような影響を与えるのでしょうか?
ここでは親子の縁切りと相続の関係について解説します。

 

 

 

 

 

そもそも親子の縁を切ることは法的に難しい

現在の日本の法律上、親子関係を完全になくすことは基本的にできません。
親子関係をなくすことはできませんが、戸籍を分けることで見た目では縁を切ったように感じられるかもしれません。
また、改名や閲覧の制限措置をとることで居場所を把握しづらくなります。

 

戸籍の分籍

戸籍筆頭者ではない未婚の成年者であれば、戸籍から抜けて単独の戸籍を編製することができます。
一度分籍した後は元の戸籍に戻ることはできません。ちなみに本籍地はどこにでも置くことができます。

 

 

婚姻による除籍

婚姻によりそれぞれの親から独立し、夫婦で新しい戸籍を編製します。
元の戸籍は除籍となります。

 

 

名前を改名

家庭裁判所に申し立てを行い、許可を得れば改名することができます。
ただし、やむを得ない事由、正当な事由が必要です。

 

 

住民票・戸籍の附票の閲覧制限

DVやストーカー行為等の被害者からの申し出により、閲覧を制限することができます。
誰でも制限措置をとれるわけではありません。

 

 

相続権はなくならない

例え戸籍が分かれたり絶縁状を送ったとしても、子供が亡くなった場合は親が、親が亡くなった場合は子供が、それぞれ相続人になります。
子供に相続させたくない、親の遺産を相続したくない、という場合は相続開始の前後で速やかに手続きを行いましょう。

 

子供に相続させたくない場合

遺言書を作成する

相続させたくない子供には相続させない内容の遺言書を作成します。
ただし、子供には遺留分が認められるため、遺留分を考慮しない遺言書はトラブルが発生する可能性がある点に注意が必要です。

 

相続廃除の申し立てを行う

家庭裁判所に申し立てを行い許可されれば相続人の地位を失います。
相応の理由や経緯を証明する必要があり、簡単には許可されません。

 

 

親の相続に参加したくない場合

相続放棄の申し立てを行う

相続開始を知ったら速やかに家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行いましょう。
期限は3ヶ月以内で、遺産の全部を放棄することになり、また後から覆すことはできません。

 

 

他にも義務があります

扶養義務

自分と直系血族、兄弟姉妹はお互いに扶養義務があります。
親が未成年の子供に対して負う扶養義務は「生活保持義務」、兄弟姉妹や成人の子供が親に対して負う扶養義務を「生活扶助義務」と言います。

 

 

例外

特別養子縁組

普通養子縁組では親子関係はなくなりませんが、特別養子縁組の場合は実親と養子の法的な親子関係は解消されます。

 

 

まとめ

日本で親子関係を法的に完全に解消することは実質的に不可能であると言えます。
親子間、兄弟姉妹間での関係が良くなかったり疎遠になっていると、どうしても相続発生時にトラブルに発展する可能性が出てきてしまいます。
遺言書や相続に少しでも不安があれば専門家に相談することをお勧めします。