「事実婚」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、法律婚と異なり、事実婚には法的な保護が十分ではありません。
何も対策をしていなければ、「もしもの時」、大切なパートナーやお子さんに財産を残したい、自分の意思を伝えたいと思っても、それが難しい場合があります。
このような問題を避けるためには、遺言書の作成が非常に重要となります。
このコラムでは、事実婚における相続の問題点と、遺言書を作成することの重要性について解説していきます。
事実婚とは、婚姻届を提出していないが、社会通念上夫婦と認められる関係にある男女の状態を指し、内縁関係とも呼ばれます。法律婚と異なり、法的な保護は限定的になっています。例えば、
これらの法的保護の不足が、事実婚における様々な問題を引き起こす可能性があります。
事実婚の場合、パートナーは法定相続人に該当せず、相続権を持たないため、以下のような問題が生じることがあります。
原則、遺言書がないと、パートナーは一切の財産を相続できません。
今住んでいる住居も、相手の名義であれば、相続開始後は相続人の所有となるため、場合によっては退去しなければいけなくなる可能性があります。
申し立てにより特別縁故者と認められる場合もありますが、相続人がいない場合に限られます。
二人の間の子供であっても、事実婚の場合は非嫡出子となり、母親の戸籍に入ります。母親との親子関係は証明されますが、父親との親子関係が法的に認められるためには「認知」の手続きが必要です。
この手続きを行わないと、子供は父親の相続人となることができず、父親の遺産を相続できません。
遺言書を作成することで、事実婚であってもパートナーに財産を残すことができます。また、財産分割の指定だけでなく認知をすることもできます。
もしもの時が訪れてしまった時に「遺言書があれば」とならないためにも今から準備しておくことを強くおすすめします。
遺言書には法律で定められた厳格な方式があり、従っていないと無効になってしまうリスクがあるため、作成には専門家に相談することも合わせて推奨します。
遺言などにより財産を取得した場合、事実婚のパートナーでは下記のような税制上の優遇措置を受けることができません。
また、相続税の課税額は2割加算の対象となります。
遺言書でも、遺留分を侵害することはできません。相続人がいる場合は作成段階で考慮しておきましょう。
遺留分とは、一定の相続人が最低限取得できる遺産の割合のことです。
事実婚のパートナーを受取人に指定できるかどうかの規定は生命保険会社によって異なります。
条件付きで可能な場合もあれば、認められない場合もありますので、生命保険会社に確認をしてください。
事実婚の場合、法律婚と比べて法的保護が十分ではありません。しかし、遺言書の作成や生前の準備によって、様々な問題を解決したり、軽減したりすることができます。
「まだ早い」と思わずに、パートナーやお子さんの将来を守るため、遺言書の作成について考えてみてください。
今治の行政書士佐伯和亮事務所では、相続・遺言に関するご相談を初回無料で承っております。お気軽にお問い合わせください。