遺産分割協議が揉めることも特になく、遺産分割もようやく終わったと思ったら遺言書が見つかった。
自分たちで協議して決めた分割方法と違うけどどうしたらいいの?
自筆証書遺言を本人が保管していた場合、すぐには見つからず後から出てくることもあります。
こんな場合にどうしたらいいか、解説していきます。
後から見つかるのは自筆証書遺言の場合がほとんどだと思います。
遺言書保管制度を利用していない場合、検認手続きを行う必要がありますので家庭裁判所に検認の申し立てをしましょう。
また、封印のある遺言書は開封してはいけません。これは法律で規定されています。
外見から遺言書とわからずに開封してしまったり、そもそも封をされていなかった、などの場合もそれを理由に遺言書自体が無効になるわけではないので速やかに検認の申し立てを行ってください。開封は家庭裁判所で相続人立会いの下行われます。
遺言書を発見して隠匿や破棄、改ざんなどは相続欠格事由に該当し、相続する権利を失いますので、発見した場合は他の相続人にすぐに連絡して検認手続きの準備をしましょう。
検認手続きは、遺言者が作成し、偽造や変造されたりしていないかを確認するもので、その遺言書が法的に有効なものかどうかを判定してくれるものではありません。
検認が済んだら遺言書の有効性を専門家に確認してもらいましょう。
無効であれば遺産分割協議通りで問題ありません。
遺言は遺言者の意志であるため法律的にも尊重されており、
遺言>遺産分割協議>法定相続分
という順位付けになります。また、
遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。(民法第985条1項)
とあり、遺言には時効もありませんので遺言者が亡くなった瞬間に遺言の内容に基づいて権利関係は変動したことになります。
とはいえ、必ず遺言通りに遺産分割しなければいけないわけではないため、相続人全員に遺言書の内容を確認した上での意思確認を行い、相続人全員がすでに行った遺産分割で合意した場合は再協議の必要はありません。
相続人全員が合意したとしても遺産分割をやり直す必要がある場合もあります。
遺言によって遺言執行者が指定されていた場合、遺言執行者に遺言書の通りに執行するか、遺産分割協議の内容を追認してそのままにするかの判断が委ねられることになります。
遺言書の内容にこれらが記載されていると、相続人や相続財産が変わることになり、相続人全員の同意が得られていない遺産分割協議になるので認知された子供や遺贈を受ける受遺者も含めて遺産分割協議のやり直しになります。
遺産分割が完了してから遺言書が発見されたら、原則としては遺産分割をやり直す必要があります。
ただし、相続人全員が既に行った遺産分割に同意している場合や、遺言の内容がそれを大きく逸脱していない場合は、再協議が不要となることもあります。状況に応じて慎重に対応する必要があるため、不安があれば専門家に相談しましょう。