相続財産とならないもの
相続手続きで避けて通れない、相続財産にならないものについて詳しく解説。相続専門の行政書士佐伯和亮事務所が、生命保険金、遺族年金、一身専属の権利義務など、遺産分割の対象外となる財産の理解をサポートします。

相続財産とならないもの

  • 相続財産:法定相続人が遺産分割協議によって分配する対象となる財産です。
  • 相続財産でないもの:遺産分割の対象とならず、特定の受取人や承継者に直接渡されるものです。

ここでは相続財産とならないものを解説していきます。

 

 

 

 

生前に所持していない財産

死亡保険金

被相続人が契約者で被相続人の死亡を理由として支払われる保険金は受取人の固有財産とされます。

死亡退職金

こちらも同様に受取人の固有財産となります。通常の退職金は受け取る前に被相続人が亡くなった場合でも相続財産となり遺産分割の対象となります。

 

※ただしこちらは後述する「みなし相続財産」と呼ばれ、相続税の課税対象となります。

 

 

遺族年金・未支給の公的年金

遺族年金

被相続人が亡くなった後に残された家族が受け取ることができる年金であり、相続財産には含まれず、遺族の固有の権利として支給されます。

未支給の公的年金

公的年金(厚生年金、国民年金など)は、被相続人が亡くなると支給が停止されますが、未支給の年金については遺族が請求することができ、これは相続財産には含まれません。

 

 

一身専属の権利義務

一身専属の権利義務とは、被相続人の個人的な地位や能力に密接に関連する権利や義務を指します。
雇用契約上の地位や特定の専門職の免許や資格など、また、婚姻関係や親子関係に基づく身分上の権利義務なども被相続人の死亡とともに終了します。

 

※例えば子供の養育費を支払っていたら、支払い義務は被相続人の死亡とともに終了します。未払い分があった場合は相続財産として含まれ、相続人に支払い義務が生じます。

 

 

祭祀財産

祭祀財産は、宗教的儀式や家族の祭祀(先祖の供養など)に関連する財産であり、墓地・仏壇・祭具・家系図などが含まれます。
これらの財産は祭祀継承者に引き継がれると民法で定められており、相続財産としては扱われません。

 

 

みなし相続財産

上記の「死亡保険金」や「死亡退職金」などは、相続財産ではないものの相続税の課税対象となる「みなし相続財産」です。
相続人が死亡保険金の受取人の場合と相続人以外が受取人の場合で税制が異なり、

  • 相続人の場合:非課税枠あり
  • 相続人以外の場合:非課税枠がなく相続税の加算もある

また、生命保険は契約内容によって税の区分が変わりますので注意が必要です。

 

 

まとめ

相続財産にならないものは多岐にわたります。
相続手続きにおいてはこれらの違いを理解し、相続財産を正確に把握して適切に対応することが重要です。
不安や疑問に思う点があれば専門家にご相談ください。