遺産分割協議ができない!相続人と音信不通の場合の対処法
相続人と音信不通なために遺産分割協議が進まない場合の対処法を解説します。不在者財産管理人の選任や失踪宣告の申し立ての手続きについて説明します。相続の相談を今治でお探しなら佐伯和亮事務所まで!

連絡の取れない相続人がいる場合はどうすればいい?

何度もお伝えしていますが、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。
連絡が取れないから、どこにいるかわからないから、などの理由で除外して相続手続きを進めることは絶対にできません。人数が多くても、疎遠であっても全員の合意が必要です。
今回は、相続人の一部が音信不通で連絡が取れない場合の遺産分割協議の進め方について解説します。

 

 

 

 

相続人の確定について

相続が開始したら、まずは誰が相続人であるかを確定しなければいけません。
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本などを揃えて相続人を確定しましょう。
相続人が確定出来たら、今度はその相続人全員分の戸籍謄本を取得します。
このときに、戸籍謄本と併せて戸籍の附票(住所の変遷が記載されている書類)も取得しておきましょう。

 

※戸籍謄本は本人・配偶者・直系親族であればどこの役所でも請求できますが、それ以外の兄弟姉妹などの方は本籍地にある役所に請求しなければいけないので、面倒であれば職務上請求のできる専門家に任せましょう。

 

 

とにかく連絡してみる

住民票の住所に手紙を送る、親族に連絡先を聞いて電話する、などの方法で連絡してみましょう。
誰も連絡先を知らない、連絡しても無視や拒否される場合は訪問して話をしてみます。
それでも相続手続きに非協力であったり、中には住所地に居住しておらず、行方不明となっている方もいます。

 

 

手続きに協力してくれないときは

非協力で遺産分割協議が行えない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、解決を目指すことができます。
話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に遺産分割審判手続が開始され、裁判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して、審判をすることになります。

 

 

行方不明のときは

行方不明者の代理人を選任する不在者財産管理人選任の申し立てを、行方不明者の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。
この不在者財産管理人は、主に財産の「保存行為」の権限を有していますが、家庭裁判所の権限外行為許可を得ることで遺産分割など、「処分行為」を行うことが可能になります。

 

また、行方不明の期間が7年以上の長期に渡っており亡くなっている可能性が高い場合や、又は災害などに遭遇し、危難が去ってから1年を経過しても行方不明である場合は失踪宣告の申し立てを行うことができます。
家庭裁判所より失踪宣告が出されたら、その行方不明者は法律上死亡したものとみなされます。

 

 

遺産分割協議を行う

財産管理人が選任され、権限外行為許可を得ることができたら速やかに遺産分割協議を行いましょう。

 

なお、財産管理人は

  • 不在者が現れたとき
  • 不在者について失踪宣告がされたとき
  • 不在者が死亡したことが確認されたとき
  • 不在者の財産がなくなったとき

などまで職務は続くことになります。

 

 

まとめ

連絡の取れない相続人がいる場合、ただでさえ煩雑な手続きがさらに増加し、手間と時間がかかってしまい、
最も大変な手続きである遺産分割協議の前に精神的にも肉体的にも負担が大きくなってなってしまいます。
面倒な手続きは専門家に一任してしまうことで、負担を軽減しスムーズに手続きを進めることができます。
また、相続に関する問題を未然に防ぐためには、遺言書の作成や生前整理が有効です。
相続の問題は一人で抱え込まず、専門家と共に解決していくことが、家族の絆を守るための大切な一歩です。
早めの準備と適切な対応で、安心して将来に備えましょう。