相続手続きを開始したら遺言書が何通も見つかった、そんなときはどうすればいいのでしょうか?
ここでは複数の遺言書が見つかった場合の対処法をお伝えします。
まず前提として遺言書は複数作成しても問題はありません。
最初に遺言書を作成してから、年月の経過とともに遺言者の意図の変化は往々にして発生するものです。
例えば、家族構成の変化、財産状況の変動、健康状態の変化などが理由になるでしょう。
そういった場合には新たに遺言書を作成しても問題はありません。
方式が変わっていても大丈夫です。
法的には日付が最新の遺言書が優先されると規定されています。まずは日付を確認しましょう。
この際、公正証書遺言の方が自筆証書遺言より優先される、といったことはありません。
また、古い日付の遺言書も無効になるわけではありません。
内容が抵触する部分に関しては前の遺言を撤回したものとみなされ、後の遺言が有効となりますが、
抵触していない部分は前の遺言も有効になります。
例えば、有効な2通の遺言書があり、古い遺言書に不動産と預貯金の分割方法が記載されていて、
新しい遺言書に預貯金の分割方法だけ記載されている場合、
預貯金は新しい遺言書の分割方法が有効となりますが、不動産に関しては古い遺言書が有効となります。
遺言書が法的要件を満たしているかを確認します。
要件を満たしていない遺言書は例え日付が新しくても無効になります。
公正証書遺言であれば内容に不備はほぼないと思いますが、
自筆証書遺言の場合は目録以外の全文自筆、署名押印といった要件を満たしている必要があります。
自筆証書遺言は自宅で手軽にできるため、気が変わったらすぐに作成できます。
しかし、前の遺言書を破棄せず新たな遺言書を作成していた場合、
残された相続人は内容を一つ一つ確認し、読み解かなければなりません。
不備や矛盾があれば相続人間のトラブルの元にもなりえます。
遺言書はできるだけ1通にすべての内容を網羅的に記載し、不備が生じないよう公正証書で作成することをおすすめします。
公証人の関与によって法的な有効性が確保されるため、トラブルのリスクを大幅に減らすことができます。
また、複雑な手続きは専門家に任せることで、確実かつ円滑に相続を進めることができます。
遺言書を適切に作成し、大切な遺産を確実に次世代に引き継ぐためにも、ぜひ当事務所のサービスをご利用ください。
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