遺留分侵害額請求権
遺留分侵害額請求権について詳しく解説。遺留分の権利を侵害された場合の手続きや注意点を行政書士佐伯和亮事務所と学びましょう。

遺留分侵害額請求権

 

 

 

遺留分侵害額請求権とは

 

遺留分侵害額請求権とは、遺留分権利者(配偶者、子、直系尊属)がその遺留分を侵害された場合に、

 

侵害額を請求する権利のことです。遺言によって遺留分が侵害された場合、

 

遺留分権利者はその侵害額を金銭で補填するよう請求できます。

 

 

遺留分侵害額の算出方法

  1. 相続財産の総額を算出する
  2. 各遺留分権利者の遺留分を計算する
  3. 実際の相続分と遺留分を比較し、侵害された遺留分の額を特定する

 

例えば、家族構成が被相続人・配偶者・長男・長女で相続財産の総額が3,000万円であった場合、

 

 

相続財産の総額:3,000万円

 

法定相続分:
配偶者:1/2
長男と長女:それぞれ1/4

 

遺留分の割合:法定相続分の1/2
配偶者:1/2 × 1/2 = 1/4(750万円)
長男と長女:それぞれ1/2 × 1/4 = 1/8(375万円)

 

仮に、遺言で全財産3,000万円を長男に相続させるとした場合、配偶者ともう一人の子の遺留分が侵害されることになります。

 

侵害された遺留分の金額:
配偶者:750万円
もう一人の子:375万円

 

これらの金額が遺留分侵害額として請求できる額となります。

 

 

遺留分侵害額請求権の行使手続き

  1. まずは話し合い:相続人同士で話し合い、合意に達することができれば、遺留分侵害額の支払いが行われます。後のトラブルを避けるため、合意書を作成し書面に残しておきましょう。
  2. 内容証明郵便で請求する:話し合いで解決できそうになければ内容証明郵便で遺留分侵害額請求書を送りましょう。請求したことの証明と時効をストップすることができます。
  3. 法的手続きをとる:それでも合意に達しない場合は、家庭裁判所に調停や訴訟を申し立て裁判所の判断を仰ぐことになります。

 

 

遺留分侵害額請求権の時効

遺留分侵害額の請求は,遺留分権利者が遺留分の侵害を知った時から1年以内に請求を行う必要があります。

 

また、相続開始から10年以内でなければなりません。これを過ぎると、遺留分侵害額請求権は消滅します。

 

家庭裁判所の調停を申し立てただけでは相手方に対する意思表示とはなりませんので,

 

調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行う必要があります。

 

 

 

遺留分侵害額請求権は、法定相続人の権利を守るための重要な手段ですが、

 

親族間での争いに発展する可能性もあるため専門家の助言を受けることが推奨されます。