相続放棄しても遺留分はもらいたい?
相続放棄後に遺留分を請求できるか?その法的な関係と選択の影響について詳しく解説します。相続放棄を検討している方は、遺留分の取り扱いについても必ず確認を。

相続放棄しても遺留分はもらいたい

「親族とは疎遠で相続には関わりたくないから放棄しようと思ってるけど、自分は相続人だから遺留分てやつはもらえるんでしょ?」
こんなふうに考えている人はいませんか?
相続放棄をした場合でも、遺留分を請求できるのか?多くの人が疑問に思うこの問題について解説します。

 

 

 

 

相続放棄とは?

相続放棄とは、相続人が全ての相続財産と債務を受け取らない選択をすることです。
法的には、相続放棄をした人は初めから相続人でなかったものとみなされます。(民法939条)

 

 

遺留分とは?

遺留分は、特定の相続人に認められる法律で保護された最低限の相続財産の割合のことです。(民法1042条1項)

 

特定の相続人

遺留分が認められるのは兄弟姉妹以外の相続人、つまり配偶者直系尊属とその代襲相続人です。

 

遺留分の割合

直系尊属のみが相続人の場合:1/3
それ以外の場合:1/2

 

 

遺留分が侵害されていると?

遺留分を侵害する贈与や遺贈がある場合、遺留分権利者は「遺留分侵害額請求」をすることができます。

 

遺留分侵害額請求

遺留分権利者が、受遺者、又は受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる、というものです。(民法1046条1項)
ただし、相続の開始及び遺留分の侵害があったことを知ったときから1年間、又は相続開始から10年間経過するとこの権利は消滅します。(民法1048条)

 

 

相続放棄と遺留分の関係

相続放棄しても遺留分はもらえる?

前述の通り、相続放棄をすると、「初めから相続人でなかったもの」とみなされます。
対して、遺留分は「特定の相続人」に認められるものです。

 

つまり、相続放棄をした人は相続人ではないため遺留分は認められません
相続放棄と遺留分はどちらか選択する必要があります。

 

相続放棄と遺留分の選択をどう考えるか

遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に、相続開始前の1年間に贈与した財産を加えた額から債務の全額を控除した額とする。(民法1043条・1044条)
と定められているため、財産に対して債務が過大である、又は超過している場合は遺留分の価値が少なくなるため、相続放棄を検討する価値があります。
反対に、財産が多額である場合は相続放棄をしてしまうと遺留分を失うリスクがあるため、十分な検討が必要です。

 

 

まとめ

相続放棄によって遺留分を請求できなくなるため、放棄を行う前に十分な情報収集と慎重な判断が必要です。
遺産分割協議は相続人全員の協力が必要であるため、他の相続人との関係が複雑な場合には、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。