「遺書」 と 「遺言書」
誰もが日常生活で耳にしたことがある言葉だと思いますが、その違いについて明確に理解している人は少ないかもしれません。どちらも亡くなった後に関する文書ですが、実はその目的や法的な効果に大きな違いがあります。
このコラムでは、遺書と遺言書の違いについて詳しく解説し、どのような状況でどちらが適しているのかを考えてみたいと思います。
遺書は、亡くなる前に自身の思いを家族や友人に伝えるための文書です。
感謝や謝罪、後悔などの個人的なメッセージが主な内容であり、法的効力は持ちません。
遺産分配や相続手続きに関しては、遺書に記された内容に法的な拘束力はなく、あくまで個人的なメッセージとして扱われます。
そのため、形式にとらわれず、自由に書くことができます。
遺言書は、亡くなった後の財産分配や相続に関する自らの意志を法的に確定するための文書です。厳格な形式に従う必要があり、法律で定められた要件を満たさなければ無効となる可能性があります。
遺言書には、法的に効力を持つ「法的遺言事項」と遺言者の意向を伝える「付言事項」があります。
遺言者が相続人や遺族に対して伝えたい希望やメッセージを記載する部分です。
例えば、特定の財産を譲る理由や遺産分割に際しての配慮を促す内容、相続人への感謝の言葉などが含まれます。
付言事項は法的拘束力は持ちませんが、遺言者の意志を伝え、遺産分割を円滑に進めるための助けになることがあります。
遺言書に書く内容について、詳しくは遺言書には何を書けばいいの?財産のこと、家族へのメッセージ…をご覧ください。
遺書と遺言書は、どちらも大切な人に想いを伝えるための手段ですが、その目的や法的効力が大きく異なります。他にも、近い役割を果たすものに「エンディングノート」がありますが、そちらについてはエンディングノート、エンディングノートと遺言書の違いで詳しく解説していますのでご覧ください。
遺書は、法的な効力はありませんが自分の気持ちを伝えるための手段として、自由に表現することができます。一方で、遺言書は法的に有効な遺産分配の指示を含む文書であり、厳格な形式に従って作成する必要があります。
当事務所では、遺言書作成に関するご相談を承っております。遺言書の作成について疑問や不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。