負担付遺贈
負担付遺贈についての詳細な解説。遺言者が遺産を与える際に特定の負担義務を課す負担付遺贈の具体例、注意点、対策をわかりやすく説明します。行政書士佐伯和亮事務所が提供する遺言書作成サポート。

負担付き遺贈について

負担付き遺贈とは、遺言者(被相続人)が遺言によって相続人または第三者に遺産を与える際に、特定の負担義務を課す形で行う遺贈のことを指します。遺贈を受ける者は、指定された義務を履行することが求められます。

 

 

 

 

 

負担付き遺贈の具体例

 

遺族の世話
  • 遺言者の配偶者の同居と介護を負担として自宅不動産を遺贈する。
  • 障害を持つ兄弟姉妹の養育を負担として財産を遺贈する。

 

ペットの飼育
  • 残されたペットの飼育を負担として財産を遺贈する。

 

住宅ローンの返済
  • 住宅ローンの返済を負担として自宅不動産を遺贈する。

 

以上のような例が典型的な負担付き遺贈の例であり、遺産の使用方法や受遺者に対する特定の要求を明確にすることができます。

 

ただし、以下のような点には注意する必要があります。

 

負担付き遺贈の注意点と対策

 

注意点

負担義務には限度がある

「遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。」
と民法で規定されているため、遺贈する財産に対して過大な負担義務は履行されない可能性があります。

 

遺贈は放棄できる

そもそも遺言は遺言者の一方的な意思表示によるものですから、受遺者には選択権があります。
受遺者の負担を考慮しないと遺贈を放棄されてしまう恐れがあります。

 

不履行の恐れがある

受遺者の中には負担付き遺贈を承認したのに、財産だけ受け取り負担義務を履行しない場合があります。
この場合は遺言執行者・相続人は履行の催告を行い、それでも履行されない場合はその負担付き遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができると規定されています。

 

対策

負担が過大にならないように注意する

規定により、過大な部分については受遺者に履行の義務はありませんし、放棄されてしまっては遺言者の希望をかなえることはできません。
遺贈する財産と負担義務の内容は十分に考慮しておくことが大切です。

 

受遺者と事前に話し合う

遺贈する財産と負担義務の内容を考慮したら、受遺者と事前に話し合いを行い同意を得ておきましょう。
遺言書で突然負担付き遺贈を知り、受遺者の意に沿わなければ放棄されてしまう恐れがありますが、事前に同意を得ていればその可能性は低くなります。

 

遺言執行者を指定しておく

負担義務がきちんと履行されているかどうか、相続人では確認することが難しい場合があります。
遺言執行者が指定されていれば履行を監督する役割を果たします。

 

 

負担付き遺贈は、遺言者が遺産の利用方法や受遺者に対する特定の義務を明確にするための有効な手段です。
しかし、遺言書を作成する際に考慮しておかなければならないことが多くあります。
負担付き遺贈を検討する際には、専門家に相談し、遺言書を適切に作成することをお勧めします。