兄弟姉妹は、被相続人に子や父母がおらず、代襲相続人となる孫や祖父母などもいない場合に相続人となります。
近年では少子高齢化や未婚率の上昇により兄弟姉妹が相続人となることが一般的になり、それに伴って相続トラブルも増加しています。
相続人に兄弟姉妹がいる場合はどのような点に注意すればよいのでしょうか?
本コラムで注意点とその対策について解説していきます。
配偶者:常に相続人
配偶者がいる場合
配偶者 | 兄弟姉妹 |
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兄弟姉妹が複数人いる場合は均等割りします。
相続人となる兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっている場合は、その子(甥・姪)が代襲相続人となります。
子や親の場合と異なり、甥・姪までしか代襲することはできません。
他の相続人とは違い、兄弟姉妹には遺留分が認められていません。最低限の相続分を保証するための保護がないことを意味します。
これが兄弟姉妹の相続における最大のポイントです。
兄弟姉妹間では、幼少期からのお互いの関係性やそれぞれの家族の事情が相続問題に影響を与えることがあり、遺産分割協議が感情的な争い、いわゆる「争族」に発展する可能性があります。
遺産分割協議では相続人全員の同意が必要であるため、遺産分割協議が成立しない場合、家庭裁判所での調停や審判が必要になることもあります。
日ごろから兄弟姉妹間の関係を深めておくことは協議で揉めないために非常に重要であるといえます。
事前に被相続人と相続人で話し合いの場を設けることで、誤解やトラブルを避けることができます。
兄弟姉妹だけでは感情的になってしまっても、専門家を交えることで冷静に話ができる場合は多くあります。
また、適切なアドバイスを得て、円滑な相続手続きを進めることができます。
兄弟姉妹以外が相続人となる場合の遺言書では遺留分に配慮した内容にする必要がありますが、前述のとおり兄弟姉妹には遺留分が認められないため、遺言書で自由に遺産の分割を指定することができます。
また、遺言書を作成することで遺産分割協議を行うことなく遺産分配を行うことができるため、相続手続きにおける大きな不安を取り除くことができます。
遺言内容を確実に実行できるよう、遺言執行者も指定しておくとよいでしょう。
また、付言事項として兄弟姉妹へのメッセージを添えることを推奨します。
相続の準備は家族全員への思いやりです。
兄弟姉妹への相続をどうするかを考え、遺言書の作成やその他の適切な生前対策を早めに行うことで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな相続を実現することができます。ぜひ、この機会に、自らの意思を反映した遺言書の作成や専門家への相談を検討し、大切な家族が安心して未来を歩んでいけるよう、準備を進めてください。