遺言書とエンディングノートと、どちらも「終活」において重要なものですが、その違いをきちんと理解している方は少ないかもしれません。
今回は、それぞれの違いを明確にし、どちらを作成すべきか、あるいは両方作成する必要があるのか、検討するための材料を提供できればと思います。
遺言書:遺言書に記載することで法的な拘束力を持つ項目、「法定遺言事項」が法律により定められています。それ以外の項目は「付言事項」と呼ばれ、こちらには法的効力はありません。詳しくは遺言書には何を書けばいいの?財産のこと、家族へのメッセージ…をご覧ください。
エンディングノート:本人の意向や希望を伝えるためのものであり、親族や関係者にとって重要な参考資料となりますが法的効力ありません。必ずしも従う義務はありません。詳しくは自分らしく生きる、エンディングノートをご覧ください。
遺言書:厳格な形式に従う必要があり、法律で定められた要件を満たさなければ無効となる可能性があります。特に自筆証書遺言も作成には注意してください。
遺言書の種類、どれを選ぶ?種類別の特徴、メリット・デメリットを比較
エンディングノート:形式にとらわれず、自由に書くことができます。手書きでもデジタルでも構いませんし、内容も非常に柔軟です。個人的なメッセージや希望、葬儀の詳細、医療の意向など、幅広い情報を含めることができます。
遺言書:主な目的は遺産の分配を指示することです。曖昧な表現を避け、明確で具体的な指示を残すことが求められます。
エンディングノート:目的は、親族に対する情報提供や本人の意向を伝えることです。
葬儀の手配、財産の所在、家族へのメッセージ、重要な連絡先など、親族が後に困らないようにするための情報が含まれます。
遺言書:変更には正式な手続きを要し、遺言書の種類によっては再度の署名や証人が必要です。法的な手続きが伴うため、変更には手間がかかってう場合があります。
エンディングノート:自由に更新することができます。本人が必要に応じていつでも書き換えることができるため、簡単に変更できます。
遺言書:法的効力を持つため、親族間での争いや法律的な問題を予防する効果があります。しかし、場合によっては遺言の内容が感情的な対立を引き起こすこともあります。例えば、1人の相続人に全財産を相続させる内容、などがこれにあたります。
エンディングノート:法的拘束力がない分、親族への心理的な影響を和らげることができます。感謝の言葉やメッセージを含むことで、親族が心の整理をする助けとなります。
項目 | 遺言書 | エンディングノート |
---|---|---|
法的効力 | あり | なし |
形式 | 法律で定められた形式 | 自由に書ける |
内容 | 財産の分配方法など | 想い・希望・情報提供など |
更新 | 手続きが必要な場合も | 容易にできる |
心理的な影響 | 感情的になる可能性 | 心の整理をする助けになる |
遺言書とエンディングノートは、どちらもあなたの大切な想いを伝えるためのものです。
遺言書で財産の分配について、エンディングノートで日々の暮らしや想いを、それぞれ書き記しておくことで、残された親族への負担を軽減し、あなたの意思を確実に伝えることができます。両者を併用して準備を進めておくことをお勧めします。
遺言書やエンディングノートの作成に不安や疑問がある場合は、今治市の行政書士佐伯和亮事務所まで、お気軽にお問い合わせください。