エンディングノートと遺言書の違い
エンディングノートと遺言書の違いについて詳しく解説。法的効力、形式、目的、更新の容易さ、社会的・心理的な影響について深掘りし、両者の併用の利点を佐伯和亮事務所が説明します。

エンディングノートと遺言書の違いは?

前のコラムでも少し触れましたが、エンディングノートと遺言書の違いは何でしょう?
詳しく解説していきます。

 

 

 

 

法的効力の違い

遺言書には基本的に何を書いてもかまいません。
しかし、遺言書に記載することで法的な拘束力を持つ項目が法律により定められています。

 

  • 相続分や遺産分割方法の指定など、相続に関する事項
  • 遺言執行者や祭祀主宰者の指定など、人に関する事項
  • 認知や未成年後見人の指定など、身分に関する事項
  • 遺贈や信託の設定など、財産に関する事項

などがそれにあたります。

 

一方、エンディングノートは法的効力がありません
これはあくまで本人の意向や希望を伝えるためのものであり、
遺族や関係者にとっては重要な参考資料となりますが必ずしも従う義務はありません。

 

 

形式と内容の違い

遺言書は厳格な形式に従う必要があり、法律で定められた要件を満たさなければ無効となる可能性があります。
エンディングノートは形式にとらわれず、自由に書くことができます。
手書きでもデジタルでも構いませんし、内容も非常に柔軟です。
個人的なメッセージ、希望、葬儀の詳細、医療の意向など、幅広い情報を含めることができます

 

 

目的の違い

遺言書の主な目的は遺産の分配を指示することです。曖昧な表現を避け、明確で具体的な指示を残すことが求められます。

 

エンディングノートの目的は、遺族に対する情報提供や本人の意向を伝えることです。
葬儀の手配、財産の所在、家族へのメッセージ、重要な連絡先など、遺族が後に困らないようにするための情報が含まれます。

 

 

更新の容易さ

遺言書の変更には正式な手続きを要し、場合によっては再度の署名や証人が必要です。
法的な手続きが伴うため、変更には手間がかかってしまいます。

 

エンディングノート自由に更新することができます
本人が必要に応じていつでも書き換えることができるため、簡単に変更できます。

 

 

心理的な影響

遺言書は法的効力を持つため、遺族間での争いや法律的な問題を予防する効果があります。
しかし、場合によっては遺言の内容が感情的な対立を引き起こすこともあります。

 

エンディングノートは法的拘束力がない分、遺族への心理的な影響を和らげることができます。
感謝の言葉やメッセージを含むことで、遺族が心の整理をする助けとなります。

 

 

このようにエンディングノート遺言書には違いがありますので、それぞれの特性を活かして適切に使い分けることは、遺族にとっての大きな助けとなります。
自分の意思を明確に伝えるためにも、両者を併用して準備を進めておくことをお勧めします
不安や疑問がある場合は、専門家のアドバイスを受けることで、より安心して備えることができるでしょう。