相続手続きの流れ その2
相続財産の調査と評価から相続方法の決定、遺産分割協議まで、相続手続きの流れを詳しく解説します。不動産、預貯金、有価証券の把握方法、財産の評価手順を紹介します。行政書士佐伯和亮事務所が提供する相続手続きガイド。

相続手続きの流れ その2

 

 

 

 

相続財産の調査と評価

財産の種類と調査
相続財産には、不動産(家、土地など)、預貯金、有価証券(株式、債券など)、動産(車、貴金属など)、債務(借金、未払金など)などが含まれます。

調査方法

書類の確認

被相続人が生前に保管していた以下の書類を確認します。

     

  • 預貯金通帳
  • 有価証券の取引明細
  • 不動産の登記簿謄本
  • 保険証券
  • 借用書や契約書
  • クレジットカードの利用明細

 

金融機関への問い合わせ

被相続人が取引していた金融機関や保険会社に問い合わせ、預貯金や有価証券、保険金の残高証明書を取得します。

     

  • 銀行:預貯金の残高証明書を取得
  • 証券会社:有価証券の取引明細を取得
  • 保険会社:保険金の残高証明書や契約内容を確認

 

不動産の調査

被相続人が所有していた不動産について、法務局で登記事項証明書を取得し、所有権や評価額を確認します。

     

  • 固定資産税評価証明書:市区町村役場で取得し、評価額を確認
  • 登記事項証明書:法務局で取得し、所有権を確認

 

税務申告書の確認

過去の所得税や固定資産税の申告書を確認し、申告された財産の内容を確認します。

 

債務の確認

被相続人が負っていた債務について調査します。

     

  • 金融機関:借入残高証明書を取得
  • クレジットカード会社:利用明細書を確認
  • 公共料金の請求書:電気、ガス、水道などの未払金を確認
  • 医療機関:未払いの医療費を確認

 

 

財産の評価方法

相続財産の評価は、税務上の評価額を基に行います。評価額は相続税の計算に影響を与えるため、正確に評価することが重要です。以下に主な財産の評価方法を示します。

不動産の評価

     

  • 固定資産税評価額:家屋の評価は固定資産税評価証明書に記載されている評価額を基にします。市区町村役場で取得できます。
  • 路線価方式:土地の評価は国税庁が公表する路線価を基に評価します。路線価は土地の価格を示すもので、国税庁のホームページで確認できます。
  • 倍率方式:路線価が定められていない地域の評価方法です。その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。倍率表も国税庁のホームページで確認できます。

 

預貯金の評価

     

  • 残高証明書:銀行や金融機関から取得した残高証明書の金額を基にします。預貯金の評価は基本的にその残高です。

 

有価証券の評価

     

  • 上場株式:相続が発生した日の最終価格が基本となりますが、相続発生月の最終価格の平均額、相続発生月の前月の最終価格の平均額、相続発生月の前々月の最終価格の平均額の中で最も低い額で評価されます。
  • 非上場株式:原則的評価方式(類似業種比準方式・純資産価額方式)または特例的な評価方式である配当還元方式により評価します。

 

動産の評価

     

  • 車:売買実例価額や精通者意見価格で評価します。具体的には中古車販売店の査定価格や売却価額を基に評価します。
  • 貴金属・宝石:こちらも売買実例価額や精通者意見価格で評価します。専門業者の査定価格を基に評価します。

 

債務の評価

     

  • 借入残高:金融機関からの借入残高証明書に基づきます。未払金やクレジットカードの残高も含まれます。

 

 

相続財産目録の作成

調査と評価が完了したら、相続財産目録を作成します。目録には以下の情報を含めます。

     

  • 不動産:所有者名、所在地、評価額、持ち分
  • 預貯金:金融機関名、支店名、口座番号、残高
  • 有価証券:種類、取扱会社名、数量、評価額
  • 動産:種類、数量、評価額
  • 債務:種類、借入先、残高

 

他にも財産があれば記載し、相続人全員に共有し遺産分割協議の基礎資料として使用します。